「共働きになってから、なんとなくお金の流れが見えづらい…」
「二人分の収入があるはずなのに、気づけば貯金があまり増えていない」
「将来の教育費や老後のお金、ちゃんと準備できるのか不安…」
そんなモヤモヤを抱えがちな共働き夫婦のお金。
でも、特別な才能や難しい知識がなくても、「家計管理」「貯金」「将来への備え」の3つの基本さえ押さえれば、 お金の不安はぐっと小さくできます。
本記事では、共働き夫婦が知っておきたいお金の基本をギュッと1つにまとめました。
具体的な家計管理のやり方・毎月の貯金ルール・教育費や老後資金の考え方まで、 「今日から二人で話し合える実践ステップ」として整理しています。
二人の暮らしと将来を、ゆるく&確実にととのえていきたい方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
※本記事には、商品・サービスの紹介を含む場合がありますが、内容は筆者の経験・最新の公的データなどをもとにできるだけわかりやすくまとめています。
1. 共働き夫婦のお金でよくある悩みと、まず整えるべき3つのこと
まずは、共働き夫婦のお金まわりでよく聞く悩みから整理してみます。
- 生活費はなんとなく折半しているけれど、本当に公平なのかモヤモヤする
- お互いの収入やボーナスの額を、なんとなくしか知らない
- 二人分の収入があるのに、「気づいたらお金が残っていない」
- 教育費や老後資金など、将来必要なお金のイメージが湧かず不安
- 家計簿は続かないけれど、なにかしら管理はしたい
こうした悩みの多くは、次の3つが整っていないことが原因になりがちです。
- お金の流れの「見える化」ができていない
- 家計管理・貯金のルールが決まっていない
- 将来必要なお金のイメージが共有できていない
逆に言えば、この3つさえ決めてしまえば、細かい家計簿が続かなくても、二人のお金はかなりラクに整います。 この記事では、
- 家計管理のパターンと選び方
- 共働き夫婦の予算の組み方(割合の目安)
- 貯金ルールの決め方(今・近い将来・老後)
- 教育費・老後資金のざっくりした目安と準備の考え方
の順番で、ひとつずつ整理していきます。
2. 共働き夫婦の家計管理パターン4つと、それぞれのメリット・デメリット
まずは、お金の出し方・管理の仕方を決めるところから。
共働き夫婦の家計管理には、ざっくり次の4パターンがあります。
① 完全折半
② 収入割合に応じて分担
③ どちらかの収入で生活、もう一方をまるごと貯蓄
④ 共通口座+それぞれの個人口座
1. パターン別の比較表
| パターン | 仕組み | メリット | デメリット | 向いている夫婦 |
|---|---|---|---|---|
| ① 完全折半 | 生活費をきっちり半分ずつ負担する |
|
| 収入がほぼ同じ・ライフプランも似ている二人 |
| ② 収入割合で分担 | 手取り収入に応じて生活費負担を按分する |
|
| 収入差がある共働き・将来も働き方が変わりそうな二人 |
| ③ 片方の収入で生活 | どちらかの給料のみで生活し、もう一方はほぼ全額を貯蓄・投資 |
|
| どちらかの収入だけでも十分暮らせる・貯蓄のスピードを上げたい二人 |
| ④ 共通口座+個人口座 | 共通口座に生活費・貯金分を入れ、残りをそれぞれの「お小遣い」に |
|
| 二人とも一定の収入があり、家計も自分の楽しみも大事にしたい夫婦 |
すでにブログ内で詳しく紹介している「共通口座×個人口座」スタイルは、④のパターンにあたります。共働き夫婦の定番で、「家計は一緒に」「趣味やお小遣いは自由に」を両立しやすいのがポイントです。
「共通口座×個人口座」の家計管理についてもっと詳しく知りたい方は、
共働き夫婦の家計管理は「共通口座×個人口座」でラクになる|収入差があってもケンカしないお金の分け方をご覧ください。
2. まずは「今のスタイル+今後どうしたいか」を話す
いきなり完璧な形を目指す必要はありません。次の3つをベースに、二人で話してみてください。
- 今はどのパターンに近い?
- モヤモヤの原因は「不公平感」か「見えなさ」か?
- 1〜2年後の働き方(転職・育休・時短など)で変わりそうなことは?
そのうえで、「当面は②(収入割合)、数年後に④(共通口座)に移行」など、ライフイベントも見据えた形でざっくりと方向性を決めておくと安心です。
3. 共働き家計の予算の組み方|割合で考えるとラクになる
家計管理で大事なのは、「細かく記録する」ことよりも、毎月のお金の配分(割合)を決めてしまうことです。
1. 基本のイメージは「固定費+変動費+貯蓄・投資」
共働き夫婦の場合、手取り収入の目安は次のように決めると管理しやすくなります。
| 項目 | 内容 | 目安割合(手取り合計に対して) |
|---|---|---|
| 固定費 | 家賃(住宅ローン)・電気ガス水道・通信費・保険料・サブスクなど | 40〜50% |
| 変動費 | 食費・日用品・交際費・娯楽費・美容費など | 20〜30% |
| 貯蓄・投資 | 生活防衛資金・教育資金・老後資金のための貯金・つみたて投資 など | 20〜30%(最低でも15%を目標) |
もちろん家庭によって比率は変わりますが、
「まず貯蓄・投資のパーセンテージを先に決める」ことがポイントです。
2. 具体例:手取り月50万円の共働き夫婦の場合
二人の手取り合計が月50万円のケースを例にすると、
- 固定費:25万円(50%)
- 変動費:12万円(24%)
- 貯蓄・投資:13万円(26%)
といった配分がイメージしやすいバランスです。
このように、「手取りの◯%を必ず先に貯める」=先取り貯蓄の形にすると、 「何となく余った分だけ貯金」から抜け出しやすくなります。
まずは二人で手取り合計を確認し、「貯蓄・投資にまわせる割合」を話し合って決めるところから始めましょう。
4. 共働き夫婦の「貯金ルール」を決める3ステップ
次は、実際の貯金・資産づくりの優先順位を決めていきます。
おすすめは、次の3ステップです。
- 生活防衛資金をつくる
- 5年以内に使うお金を分けて貯める
- 教育費・老後資金の土台をつくる
STEP1:生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)
まずは、仕事や体調の変化があっても生活を守れるように、
「生活防衛資金」=生活費の3〜6ヶ月分を目標に貯めておきましょう。
たとえば、毎月の生活費(家賃・光熱費・食費・保険料などの合計)が30万円なら、
- 最低ライン:90万円(3ヶ月分)
- 安心ライン:180万円(6ヶ月分)
くらいを目安に、共通口座や二人で共有している貯蓄用口座に置いておくと安心です。
STEP2:5年以内に使うお金を「目的別」に分ける
生活防衛資金がある程度できたら、次は5年以内に使う予定のお金です。
- 旅行・車などの大きめな支出
- 引っ越しや家具・家電の買い替え
- 妊娠・出産・育休期間の収入減への備え
これらは、「目的別の貯金」として口座を分けたり、メモをつけたりしておくと、
「なんとなく貯まったお金」が「使っていいお金」なのか「使わない方がいいお金」なのかがわかりやすくなります。
STEP3:教育費・老後資金の“土台”をつくる
さらに先の将来に向けたお金として代表的なのが、教育費と老後資金です。
まずは、「今の家計で無理なく回せる金額」でOKなので、
- つみたてNISAなどの長期投資で老後・教育費の一部を準備する
- 勤務先に企業型DC(企業型確定拠出年金)などがあれば、活用を検討する
といった形で、小さくスタートすることが大切です。
「つみたて1万円×20年」でも、「やるか・やらないか」で将来の安心感は大きく変わるので、 まずは二人で「月いくらなら続けられそう?」と相談してみましょう。
5. 将来のお金の目安をつかむ|教育費・老後資金をざっくり把握
「教育費や老後資金、いくら必要か見当もつかない…」という不安を和らげるには、
ざっくりでいいので“目安”を知っておくことが大事です。
1. 教育費のざっくり目安
公的な調査や金融機関のシミュレーションなどでは、
子ども1人あたりの教育費は、幼稚園〜大学までトータルで約1,000万円前後と紹介されることが多いです。
もちろん、公立・私立の比率や進路によって金額は大きく変わりますが、共働き夫婦としては、
- 「大学入学までに、学費の一部+入学準備費用を準備する」
- 「それ以外の部分は、奨学金やその時点での収入も組み合わせて考える」
といったイメージで、「全部を完璧に貯めなきゃ…」と考えすぎないことも大切です。
2. 老後資金のざっくり目安
いわゆる「老後2,000万円問題」は、
「夫65歳・妻60歳の夫婦のみの無職世帯で、毎月の生活費が年金だけでは約5万円ほど足りない」
というモデルケースを30年間続けた場合に、約2,000万円不足するという試算から来ています。
実際に必要な額は、
- どんな生活水準を望むか
- 持ち家か賃貸か
- 年金額・退職金・資産の有無
などによって大きく変わりますが、「自分たちの場合はどうか」を早めにイメージしておくと、
今からの準備もしやすくなります。
3. ライフイベントとお金の目安一覧
ざっくりイメージを持つための「ライフイベントとお金のざっくり目安」を表にすると、次のようなイメージです。
| ライフイベント | 準備したいお金のイメージ | いつ頃までに? |
|---|---|---|
| 結婚・新生活 | 引っ越し費用・家具家電・挙式費用など | 結婚〜新生活スタートまで |
| 妊娠・出産 | 出産費用の自己負担+育休中の収入減への備え | 妊娠がわかったタイミング〜出産まで |
| 教育費 | 子ども1人あたり、トータルで約1,000万円前後が目安 | 大学入学までに学費の一部+入学金などを準備 |
| 住宅購入 | 頭金・諸費用・引っ越し費用など | 購入検討の数年前から計画的に |
| 老後資金 | 年金だけでは足りない分を補う資金(モデルケースでは2,000万円前後など) | 現役時代を通じてコツコツ準備 |
この表の金額はあくまで「目安」です。
実際には、二人の価値観・働き方・住む場所によって必要額は変わります。
大切なのは、「何となく不安」ではなく、「わが家の場合はこのくらい必要かも」と見当をつけておくことです。
6. 具体的な実践ステップ|今日から始められる「夫婦のお金ミーティング」
ここまでの内容を踏まえて、今日からできる実践ステップをまとめます。
週末の夜や、カフェ時間を使って、軽く「お金ミーティング」をしてみるイメージです。
STEP0:お互いに「安心して話せる空気」をつくる
お金の話は、どうしてもピリッとしがち。
まずは次のことを意識してみてください。
- 「責めない・比べない」を先に約束する
- 「これからどうしたいか」をメインに話す(過去の失敗を責めない)
- コーヒーを淹れたり、お菓子を用意したりして、リラックスした雰囲気に
STEP1:二人の手取りと固定費を書き出す
まずは、次の情報をざっくり紙に書き出します。
- 夫の手取り月収・妻の手取り月収
- 家賃(または住宅ローン)
- 水道・光熱費の平均
- スマホ代・ネット代
- 保険料・サブスクなどの固定費
これだけでも、「あ、固定費が意外と多い」「スマホ代・サブスクを見直した方がよさそう」など、改善ポイントが見えてきます。
STEP2:家計管理パターンと「共通口座」のルールを決める
次に、どの家計管理パターンにするかを話し合います。
特に、④の共通口座+個人口座スタイルにする場合は、
- 毎月、二人でいくらずつ共通口座に入れるのか(固定額 or 収入割合)
- ボーナスが出たとき、どのくらいを共通のお金にして、どのくらいを自分のお小遣いにするのか
- 共通口座から支払うもの(家賃・光熱費・日用品・貯金など)を決める
といったルールをざっくり決めておくと、「これはどっちが払う?」問題がかなり減ります。
STEP3:貯蓄・投資の「毎月の最低ライン」を決める
そのうえで、毎月いくらは必ず貯蓄・投資に回すかを、二人で決めてしまいましょう。
- 生活防衛資金が貯まるまでは、月◯万円を優先して貯金
- 貯まってきたら、その一部をつみたてNISAなどの長期投資に回す
少額からでも構いません。
「毎月の貯蓄・投資額を先に確保してから、残りで生活する」形にすると、お金は自然と貯まりやすくなります。
STEP4:月1回の「ゆるい振り返り」を習慣にする
最後に、月1回・30分だけでいいので、二人でお金を振り返る時間をつくります。
- 先月の支出で「よかったこと」「ちょっと使いすぎたこと」を話す
- 来月の大きな支出(旅行・イベント・帰省など)を確認する
- 貯蓄・投資の残高をざっくりチェックする
この「短いけれど、続けるミーティング」が、
二人がお金のことをオープンに話せる関係づくりにもつながっていきます。
7. 共働き夫婦だからこそ意識したい、リスクへの備え
最後に、共働きだからこそ意識しておきたいリスクと備えについても触れておきます。
- どちらかが病気・ケガで働けなくなったときに、片方の収入でどこまでカバーできるか
- 産休・育休・時短勤務などで、一時的に収入が減る期間への備え
- 万が一のときの生命保険・医療保険の見直し
すべてを一度に完璧にする必要はありませんが、
- 生活防衛資金をしっかり確保しておく
- 勤務先の福利厚生(傷病手当金・育休手当・企業年金など)を確認しておく
- 必要最低限の保険だけは押さえておく
といった「守りのライン」を決めておくと、予期せぬ事態への不安が和らぎます。
8. 共働き夫婦のお金の基本まとめ|今・数年後・老後を一枚のイメージに
共働き夫婦のお金は、「3つの箱をどう分けるか」と考えると整理しやすくなります。
- 家計管理:自分たちに合ったパターン(共通口座×個人口座など)を決める
- 貯金・投資:手取りの◯%を先取りし、「今用」「数年後」「老後」に分ける
- 将来のお金:教育費・老後資金のざっくり目安を知り、自分たちなりの計画を持つ
二人でお金の話をするのは、最初は少し勇気がいります。
でも、「あのときちゃんと話しておいてよかったね」と思える日が、きっと来ます。
無理に完璧を目指さず、まずは「今どこにいるか」を一緒に確認して、小さな一歩を決めることから始めてみてくださいね。










